ひぐらしの記 手習い始めのころの一文、『秋の山』 平成十年十月三十日、私は勤務する会社近くの歩道を歩いていた。ハナミズキの赤紫の朽ち葉が三、四枚空中に翻り、私の胸にあたっては舗道の方へ散らばった。歩きながら眠りこけそうな、のどかな秋日和だった。こんな麗らかな日は会社を離れて秋の山の陽だまり... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 記録と記憶 九月六日(月曜日)、記事引用。【東京パラリンピックが閉幕 東京2020年大会が全て終了】(9/5・日曜日22:03配信 毎日新聞)。「東京パラリンピックは5日、閉幕した。新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京大会は、オリンピック(7月... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 呻吟 九月五日(日曜日)、昼間、つれづれに文章を書いている。長雨続きだった空に、ほのかに陽射しがそそぎ始めている。これに応じて、鬱陶しさにまみれていたわが気分は、いくらかほぐれ始めている。まさしく、太陽がもたらす、何物にもかえがたい天恵である。 ... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 産交バス 産交バス(九州産業交通)は、わが子どものころの憧れでした。今やふるさとと名を変えたわが生誕の地・内田村には、現在、産交バスの運行は途絶えています。村の過疎化とマイカーの登場という、ダブルパンチに見舞われて、利用客の減少に拍車がかかったせいと... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 ふるさと 私は農家に生まれて、よかった。水車の回る精米所に生まれて、よかった。大家族の一員になれて、ほんとうによかった。特に、善い父、好い母、良い兄姉に恵まれて、よかった。美しいふるさとを持てたことは、ほんとうによかった。 東に大分県と宮崎県、北に... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 私家本『ひと想う』より、『コンニャク』 年の瀬(平成十二年)に、コンニャクが送られてきた。宅急便の人が、「印鑑、おねがいします」と、差し出された伝票には、ふるさと(熊本県山鹿市菊鹿町)の義姉の名まえが記されていた。「コンニャクを送ったからね!」。前もって、こんなメッセージがフクミ... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 私家本より、『雑煮の具』 食べものには、それぞれに旬というものがある。同じ食べものであっても、食べる時季や時期によって、おのずと味覚や風味が異なってくる。 雑煮は、元日の朝に食べる雑煮の味が旬である。夏の盛りにあって雑煮はもちろんのこと、私は餅そのものを敬遠したく... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 「八月盆」 八月十三日(金曜日)、雨の夜明けにあって「八月盆」の迎え日が訪れている。お盆の期間は四日であり、最終日は送り日となる。古来、お盆は正月と並んで、日本社会における二大の大事な習わしである。しかしながら、この習わしの響きには雲泥の差がある。言う... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 「東京オリンピック」、男子マラソンスタート 台風接近のため雨戸を閉じて就寝し、起き出してきてパソコンを起ち上げている。だから、外の様子はいっこうにわからずじまいである。起き立ての私は、両耳に集音機を嵌めている。このため難聴の耳は、音を拾っている。雨戸を強く叩くほどではないけれど、絶え... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 平和! それはみんなの願い。 一分間の黙祷を終えて、松井広島市長の「平和宣言」を聞き、子どもたちの「わたしたちの使命」の言葉を聞いて、私はまなうらに涙をいっぱい溜めて、開きぱなっしのパソコンへ戻ってきました。そして、読み後れていた古閑さんのメッセージや、大沢さまの追い打... ひぐらしの記前田静良