ひぐらしの記 侘しい、わが世の春 四月十二日(火曜日)、起き出してきて窓ガラスを覆うカーテンを開くと、山の新緑が眩しく眼を射る。子どもの頃に早起き鳥の役割を担っていたニワトリに変わり、山に棲みつくウグイスが、「おまえは寝坊、寝坊助だ!」と、蔑みと待ち遠しさまじりの鳴き声を立... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 若きバッテリーが叶えた快挙 四月十一日(月曜日)、すでに夜が明けて朝日が射している。このところの私は、惰性のご利益を自ら棒に振り、中だるみに甘んじて、文章の頓挫を被っていた。そのせいでこの先は、もはや再始動はありえないと、これまた自ら覚悟と観念を固めていた。そしていま... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 新聞とテレビ 物心ついて以来、三度の御飯の次に位置してきた新聞購読を、ついに止めている。止めた理由には二つある。一つは、試しに止めてみても、まったく不都合がなかったからである。逆に言えばさらなる購読継続に、実益やご利益(りやく)を見いだせなかったからであ... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 桜、散り際の戯言(ざれごと) 四月五日(火曜日)、ようやく雨は止んで、夜明けの空には、まだらに朝日が光っている。きのうの真冬並みを超える寒気は、朝日(日光)の恩恵を得て緩んでいる。どうやら、菜種梅雨は逃れたようだ。できればきょうは、後れてきた春の陽光、さらには欲張って散... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 ふるさと便・定期便 四月四日(月曜日)、夜明けは小嵐と雨降りである。寝起きのわが身体は、ブルブル震えている。身体の震えは、地震発生に慄いてではなく、ずばり季節狂いの寒さのせいである。このところあまねく日本列島は、寒の戻りを筆頭に、花曇り、花冷え、花嵐、桜雨、そ... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 散り際の桜 四月三日(日曜日)、夜来の花嵐、桜雨は遠のいて、花曇りの夜明けを迎えている。さしたる桜見物をすることなく季節は、花びらの散り際へ差しかかる。願い叶えば私は、桜吹雪や憎たらしい桜雨に出遭うことなく、綿雲みたいにふあふあと舞う光景を目にして、こ... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 文章に「適当な言葉探し」 私は、掲示板上に行替えなく、長い文章を書いている。しかも硬い文章で、さらにはまったく面白味に欠ける。高校時代の最良の友人は、「しずよし君の文章は、目が疲れるから、悪いけどもう読んでない。御免な!」「そうだよね。読みづらいから、こっちこそ、御... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 出会いの月・四月を迎えて、感慨と慨嘆 四月一日(金曜日)、そぼ降る雨の夜明け前にある。なぜ? 歳月はこうも速くめぐるのか! 別れの月・三月は、またたく間に過ぎた。きょうを初日にして、出会いの月・四月を迎えている。学び舎の式典になぞらえれば「卒業式」を終えて、今週あたりを先途にし... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 起き立の自省文 知りすぎている同音異義の言葉の辞書調べを試みた。それらの言葉は、「特長と特徴」である。特長:特にすぐれたところ。特徴:他と異なって特別に目立つしるし。なぜいまさら、だれもが知りすぎている二つの言葉の辞書調べをしたかと言えば、こう書こうとした... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 天賦、人間の情感 三月三十日(水曜日)、夜間にあって桜雨が降ったのであろうか。夜明けにあって、道路が濡れている。花に小嵐は遠のいて、のどかな花日和が訪れている。山の法面に一本、染井吉野がほんのりと咲いていたけれど、惜しむらくはおおかた花の姿を失くし散り急いで... ひぐらしの記前田静良