文章に「適当な言葉探し」

 私は、掲示板上に行替えなく、長い文章を書いている。しかも硬い文章で、さらにはまったく面白味に欠ける。高校時代の最良の友人は、
「しずよし君の文章は、目が疲れるから、悪いけどもう読んでない。御免な!」
「そうだよね。読みづらいから、こっちこそ、御免!」
 もとより、この会話を最後っ屁にして、友情が途切れたわけではない。青春時代に築いた友情は、いっそう深くかつ強まるこそすれ、こんな一片の会話で途切れるほどに、共に薄情ではない。しかしながら友人は、ぺこぺこ謝りながら、読者の位置から離れて行った。もとより、ペコペコではわが意に添わず、ひれ伏して謝りたいのは、危うく友情を断ちそうになった張本人の私である。だから、確かな理由があって読者から離れる友人に追い打ちをかけて、「『ひぐらしの記』を読んでみて!」というほどの蛮勇は私にはなく、また阿房や野暮でもない。
 もとよりわが文章は、自己都合の生涯学習の脇役にすぎない。主役は語彙の学習である。いや実際には、直近も含めてこれまで数えきれないほど繰り返し記してきた、語彙の忘却逃れと復習である。それゆえ、心中に浮かぶままの漢字と成句の多用を試みている。おのずから、ぎこちない文章へと成り下がり、自認せざるを得ないものである。
 さて閑話休題、いっとき勢いを殺いでいた新型コロナウイルスの感染状況はこうである。【全国で4万9266人の新規感染確認 前週金曜を約1800人上回る】(4/2・土曜日、 1:26配信 朝日新聞デジタル)。「新型コロナウイルスの国内感染者は1日、午後8時現在で新たに4万9266人が確認された。前週の同じ曜日(3月25日)よりも約1800人多かった。死者は78人だった。東京都は全国最多の7982人で、前週の金曜日から693人増えた。1日までの1週間平均は7628・9人と前週(6275・4人)の121・6%で、4日連続で100%を超えた。年代別にみると、最多は20代の1806人で、30代の1410人、40代の1345人、10歳未満の1151人、10代の1029人と続いた」。
 数値など覚えきれないニュースを引用したけれど、わが真意は以下のたったこれだけである。すなわち、「鳴りを潜める」の反対語は、「ぶり返し」かな? という、適当な言葉探しであった。つまり文章は、文脈に合致する「言葉探し」である。きょう・四月二日(土曜日)の文章は、このことを書くために配信ニュースを引用したり、無駄に長々と書いたにすぎない。確かに自己都合の代物であり、人様にはまったく面白味なく、目が疲れるだけの文章である。義理読みにすがっているけれど、なんだか私は、みすぼらしい人間である。わが嘆きなどつゆ知らず、夜明けののどかな朝日は、わが切ない心情を癒している。