ひぐらしの記 残雪の夜明け 2月7日(水曜日)、私は未だ夜の静寂(しじま)の中に居る。このたびの降雪予報はズバリ当たり、気象庁と気象予報士は、面目の丸潰れを免れている。専門家という職業柄、内心ではかなり安堵しているであろう。予報が外れて、文句を言う人たちは多くない。私... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 ロマンを失くした、雪景色 2月6日(火曜日)、現在のデジタル時刻は3:27と、刻まれている。過ぎた「立春」(2月4日)をあざ笑うかのように、季節は嘘をついている。三度目の正直、気象予報士は嘘をつかず、このたびの降雪予報はずばり当たっている。嘘つきは、逆転している。い... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 雪の朝にまつわる、ふるさと慕情 「立春」明けの2月5日(月曜日)、現在のデジタル時刻は2:40と刻まれている。寝床から抜け出してくるやいなや私は、頭上の蛍光灯から垂れ下がる一本の細紐を引いた。蛍光灯特有のしばしの間をおいて、パッと明かりがついた。どうやら命は断たれずに、き... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 立春、万歳! 文章は「節分の夜」 日を替えて「立春」(2月4日・日曜日)が訪れ、現在のデジタル時刻は1:23と刻んでいる。私は寝床から起き出して、文章を書き始めている。気分を殺がれていたので、書くつもりなかった。だから、寝床の中で布団を被り、ミノムシのごとく丸まっていた。と... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 節分と福豆 2月3日(土曜日)、未だ真夜中と言っていい頃にある(2:36)。パソコンを起ち上げる前に、外していた眼鏡を耳に掛けると、枠が冷たくてゾッと身振りをした。それでも季節は、しだいに寒気が遠のく春の「節分」を迎えている。人生の晩年を生きる私は、必... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 寒気に震えて、ほろ苦い文章 2月2日(金曜日)。やはり、すんなりとは暖かくならない。私は、寒気が戻った夜間に身を置いている。多くの人たちはスヤスヤと眠り、安眠と熟睡を貪っている時間帯(2:57)にある。このところの私は、執筆時間を意識して夜明け前からから、かなり前倒し... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 寒気を脱し、春の訪れを告げる2月 2月1日(木曜日)。安眠と熟睡にありつけず、真夜中にあって、起き出している(1:36)。この先には睡魔に襲われて、つらい夜になりそうである。きのうの昼間は気象予報士の予報に違わず、地上にはポカポカ陽気が降りそそいだ。私はコートなどの防寒装備... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 歳月と季節は早やめぐる、もう1月末日 1月末日(31日・水曜日)。現在(デジタル時刻2:42)、寒気はこころもち緩んでいる。気象予報士の予報によればきょうの昼間は、春日のように暖かくなると言う。庭中の梅の花は健気に綻び、寒椿は凛々しく咲いている。物心ついて以降こんにち(83歳)... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 二日続きの、嗚呼、ああ…… 1月30日(火曜日)。83歳のわが身には、「また、あしたね……」という、言葉は存在しない。この一行はきのうの文章で、きょうへの継続を恐れて用いたものである。ところがどうにか、パソコンを起ち上げて私は、(さあ、書くぞ!)という、心構えと態勢を... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 嗚呼、ああ…… きのうの夜更けは日を替えて、きょう(1月29日・月曜日)の夜明けへ向かっている。起き出して来て、パソコンを起ち上げた。デジタル時刻は、3:25と刻んでいる。机上のテイッシュを取り、鼻を噛んだ。一つ、咳が出た。季節は、確かな足取りで春へ向かっ... ひぐらしの記前田静良