中山和江随筆集 |
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著者は今年(平成二十年)六十九歳になる。三十歳で次女を出産し、産後二十日に寝たきりの祖母を一人で抱えてトイレに連れて行った後、突然立ち上がれなくなり、脊椎分離症と診断された。十七年後には脊椎管狭窄症になり、手術をせず保存療法で今日に至っている。自律神経失調症も患っており、疲れてくると頭が重くなり、四十一歳の時から薬を飲み始めた。薬を飲んで横になって頭が軽くならないと日常の生活ができない。体調をみながらの生活の中で、家族の日常を書き留め、自分の人生を顧み、またそれを糧にして毎日を過ごしてゆく。泣き言を言わず、自分に与えられた人生を誠実に前向きに生きている著者の姿勢は、読むものに励みとなり、生きる力を与えてくれる。「一日一生」と著者は己に言い聞かせ、毎日を精一杯生きている。 |
ありがとう、ランディ
ありがとう、ランディ
中山和江著
A5版 上製本 160頁
非売品
ISBN4-901735-20-9
収録作品
愛犬ランディは、ジャパン・ケンネルクラブの血統証明書付きの犬である。著者はこの犬との出会いを「つぶらなひとみに見つめられ、あまりのあどけなさに感激した」と書いている。その出会いから悪性リンパ腫のため十五才三カ月で亡くなった(平成十八年三月二十七日)十五年間の思い出を綴っている。ペットとしてただかわいがる姿勢ではなく、家族の一員としてともに暮らす様子、特に最期を看取る闘病記は動物を飼う人への警鐘となった。著者の目は時に優しく、また愛犬を通して自分を見つめる厳しい目は読者に感動を与える傑作である。
愛犬ランディは、ジャパン・ケンネルクラブの血統証明書付きの犬である。著者はこの犬との出会いを「つぶらなひとみに見つめられ、あまりのあどけなさに感激した」と書いている。その出会いから悪性リンパ腫のため十五才三カ月で亡くなった(平成十八年三月二十七日)十五年間の思い出を綴っている。ペットとしてただかわいがる姿勢ではなく、家族の一員としてともに暮らす様子、特に最期を看取る闘病記は動物を飼う人への警鐘となった。著者の目は時に優しく、また愛犬を通して自分を見つめる厳しい目は読者に感動を与える傑作である。