ひぐらしの記 「晩秋、賛歌」 私は目覚めると起き出してきて、執筆時間に急かされて、成り行き的かつ走り書きで文章を書いている。このことは自認する悪癖、すなわち恥晒しの悪習である。この禍(わざわい)は、覿面(てきめん)に文章に現れる。おのずから、代り映えのしない似たり寄った... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 「太陽」の威光と、自然崇拝 十一月五日(金曜日)、目覚めてみると、すでに夜が明けていた。長い夜にあって、久方ぶりに二度寝にありつけていた。このことでは快眠をむさぼり、目覚めの気分はすこぶる付きの良好状態である。せっかくのこの気分にケチをつけているのは、執筆時間の切迫に... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 「惜別、晩秋」 十一月四日(木曜日)、現在はきのうの「文化の日」(十一月三日・水曜日)が明けての夜明け前にある。いや、長い夜にはあっては、いまだに真夜中のたたずまいさながらである(4:13)。 きのうは気象庁の過去データにたがわず自然界は、人間界に長閑(... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 「文化の日」 「文化の日」(十一月三日・水曜日)、5:55.まだ夜が明けきれないから、きょう昼間の天気は知り得ない。きのうは、きょうの天気予報を聞かずじまいだった。聞かずじまいは、わが心中に宿るたぶん「晴れ」であろうという、わが例年の思いからであったろう... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 晩秋の朝夕の実体験 十一月二日(火曜日)、幸いなるかな! 長い夜は、夜明けの時のわが感覚を狂わしている。デジタル時刻は5:55なのに窓の外はまだ暗く、急かされる焦燥感はない。しかしながら残念なのは文章を書く気分が殺がれ、きのうに続いてズル休みを決め込んでいた。... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 衆議院議員選挙、投開票日 きのうにはようやく、晩秋の好天気が訪れた。大空は天高い、胸のすく大海原模様だった。わが胸には、ワクワク感が躍った。私はバカでかいリュックを背負って、普段の大船(鎌倉市)の街へ、買い物へ出かけた。往復共に、定期路線の「江ノ電バス」(本社神奈川... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 寝起きの嘆き文 十月三十日(土曜日)、仕方なく、書くまでもないことを書き始めている。正直、苦しい胸の内にある。すっかり、心中に怠け心が巣作りしている。怠け心ゆえ、悶絶まではいかないまでも、苦悶が張り付いている。そしてそれは払いのけようにも払えない、わが生来... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 生きているだけ 長い夜、3:56。十月二十八日(木曜日)。目覚めたので起き出してきて、パソコンを起ち上げもう長い時間、頬杖をついている。無念無想という洒落た時間ではなく、悶々として何も浮かばず、いたずらに時が過ぎている。ひと言で言えば、つらい心境に陥ってい... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 記録 十月二十七日(水曜日)、書いている途中になぜか、停電に見舞われた。お手上げとなり、万事休す。慌てて眺めると見えようなく、どこかしこの家も真っ暗闇である。パソコンは機能不能となり、この先のキー叩きを諦めた。するとこんどはなぜか、数分後に明かり... ひぐらしの記前田静良
ひぐらしの記 無題 十月二十六日(火曜日)、寝起きにあって用意周到に、両耳に集音機を嵌(は)めた。開けっぴろげの雨戸を通して窓ガラスに映る外界のたたずまいは、いまだ真っ暗で真夜中のたたずまいにある。デジタル時刻に目玉を向けると、4:36と刻まれている。すでにわ... ひぐらしの記前田静良