「前兆、ミニ台風の夜」

 9月8日(金曜日)、4:53。起き出して来たのはもっと早く、いつもの習性に従い、メディアが伝えるニュース項目を一覧した。それらの項目の中には、東海および関東地方へ向けて、接近する台風13号の記事があった。起き立ての私は、外の様子とりわけ台風や風雨模様は、目ではわからない。だから私は、文章を書くには用無しの集音器を、いつもとは違って風雨の音を聞くために両耳に嵌めている。すると、ときおり「ザアッ」と音がする。もちろん、聞き慣れている風雨の音である。風雨の強弱の程度はわからないけれど、風雨まじりの夜明けにはなりそうである。もちろん、単なる風雨ではなく、台風接近がもたらすものであろう。
 就寝時の私は、台風13号接近の気象情報に備えて、いつもとは違って四囲の雨戸のすべてを閉じた。関東地方への接近予報は、昼過ぎあたりだった。このことでは備え怠りなく、かつ用意周到もいくらか早とちりのきらいがあった。それでも、雨戸のすべてを閉じて床に就いた。起きて、未だ雨戸は開けずじまいで、パソコンを起ち上げている。それゆえに外の様子は、視覚には頼れず、聴覚すがりである。
 台風接近のニュースにびくびくして雨戸を閉めるのは、もちろんこのことを恐れてである。すなわち、山際に建つわが家は、台風がもたらす山の枝葉が飛んで来て、窓ガラスへぶち当たるのを防がなければならない。するとその備えは、窓ガラスを覆う雨戸の役割である。今さらこんなわかりきったことを書いて、継続文の足しにすることはもとより、能無しわが身のつらさである。
 時計の針は朝の時刻を刻々と刻んでいる。なのに、大空の見えない夜明けには、和む心地はまったくない。夜明け、朝の気分気分大損の、「前兆、ミニ台風の夜」である(5:22)。