4月21日(金曜日)、5:18,朝日の輝きを隠し、薄っすらと夜が明けている。きょうの天気予報は聞きそびれている。きのうに続いて昼間は、夏日の訪れるになるのであろうか。確かにことしの気象は、前倒しの早めぐり観を示している。いつもであればゴールデンウイークあたりに、満開に咲き誇る庭中のツツジは、すでに満開を終えて散り急いでいる。異常気象が飛んだ天変地異をもたらすのではないかと、かなり戦々恐々するところにある。自然界の営みは、文字どおり自然界まかせである。私にかぎらず、人間界のなすすべはない。
きのう、茶の間のソファに背凭れていると、NHKアナウンサーの声に、ドキッとした。「山鹿市」がこの日の日本列島における、最も暑い(高温)地域として伝えられたのである。すばやくテレビ画面に目を移すと、数行並んだ筆頭の位置に山鹿市があり、数値は30度を超えていた。わがふるさとは、熊本県山鹿市菊鹿町である。わが子どもの頃の行政名は、熊本県鹿本郡内田村であった。当時の内田村はのちに、近隣の六郷村、そして菊池郡城北村との3村合併により菊鹿村となり、十年後に行政名を菊鹿町と変えた。こののち、平成の大合併の嵐に巻き込まれて、山鹿市と鹿本郡内の4町、すなわち1市4町の合併により、山鹿市菊鹿町として現存する。行政名は変えても旧内田村は、当時より村人の数を大きく減らし、過疎化を強めて鄙(ひな)びたままである。確かに、村の風景は変わりようなく、狭隘な田畑や段々畑を中に置いて、山間(やまあい)の盆地を成している。点々とする集落にあって、一筋の県道と一流れの「内田川」を取り囲み里山がはべり、遠峯には熊本県、福岡県、大分県と、県境を分ける国有林が連なっている。遠峯はおおむね杉林である。里山を成すのは雑木林である。椚山(くぬぎやま)はシイタケ作りを成し、栽培物の栗山、タケノコを生み出す孟宗林がある。遠峯の杉林は、世の中のご多分に漏れず杉の需要がなく、手入れや伐採なく聳えるままである。
きのう、甥っ子(長姉の長男)から、「タケノコ、ふるさと便」が届いた。甥っ子は、汗タラタラに、タケノコ掘りをしたのであろうかと思い、ありがたくお礼の電話を入れた。ふるさとは山菜の季節である。甥っ子は、こんなことを言った。「ことしは、タケノコがいつもより早く出てしまい、もう終(しま)いのほうになってしまった。だから、硬いかもしればってん……」。
早出の「柔らかいタケノコふるさと便」は、とうに平洋子様から届いて、鱈腹ご馳走になっている。書き殴りを御免蒙りたいと思う、今朝の文章である。おやおや、夏日を思わせる、朝日が輝き始めている。きょうもまた、ふるさと・山鹿市が高温のトップニュースになるのであろうか。難聴の耳を澄まし、近眼の目を凝らしていよう。6:21。