予約済み通院日

 子どもの頃の「謎謎(なぞなぞ)合わせ」さながらに、増え続けるもの、減り続けるもの、それはなあーに? と問えば、答えは財布である。その心は、診察券は増え続けるばかりであり、一方でお金は減り続けるばかりである。片肺通行だけで言えば、予約済の通院日は増えるばかりである。これに合わせて増え続けているものには、診療費と薬剤のレシート(領収書)がある。これらを見るたびに私は、一個人にあってよくもこんなに、医療費が嵩(かさ)むものだと思う。その挙句には、日本の国の財政の厳しさが思いやられている。
 きょう(十一月十一日・水曜日)は、ほぼ週一にめぐって来る歯医者への通院日である。歯医者にかぎらず財布の中には、お札と同居してほかにも二枚の予約表が収められている。わが日程表を埋めるのは、今や予約済みの病医院への通院日だけである。もちろん、国施策の「GO TO トラベルキャンペーン」や「GO TO イートキャンペーン」、ほかさまざまなキャンペーンでの日取りは、まったくの用無しである。それらのキャンペーンは、健康な人、お金持ちの人限定であって、もとより私には無縁を強いられている。おのずから、なんだかなあ…? と、思えるキャンペーンである。
 きょうの予約時間は午前九時半である。そのため、これで文章を閉じて、それに備えることとする。気象予報士の予報に違わず、きのうから初冬本来の寒気が訪れている。加齢の身は、医療費そして寒気、ほかさまざまなものに脅(おびや)かされてつらいところがある。しかしながらこの難儀は、この先減ることはなく、いやいやいっそう増えるばかりである。おのずから、わが嘆息は増えるばかりである。加齢の身は、ほとほとなさけない。