今朝は雨。夏の猛暑を忘れ去る嘘のような冷たい雨模様。私の庭には三十年以上も前に植えた四季咲きの椿(わび助)に蕾が出てきた。白とピンクの細い苗木を買って家の門柱の両側に植えたのだが、白の方はずっと前に枯れてしまった。うつむき加減に咲くこの花は、忘れている頃に咲く。静かなたたずまいで心を癒やしてくれる。
わび助は茶の湯の床の間の花として好まれる。茶道のお稽古に通っていた頃にこの花の魅力に惹かれて育ててみたいと思い、買い求めたのだった。お花とお茶を教えて下さった師匠ももうとっくに亡くなられているのだろう。不義理をしたままで、年に一回の年賀状にわびの言葉を添えて出していたのだけれど、いつの間にか連絡が跡絶えてしまった。わび助の花の時期になるとお稽古に通っていた頃のことを思い出し、師匠のことが偲ばれる。