「ふるさと便」は「魔法便」

十月六日(木曜日)、体調不良による気分の滅入りに寒気が重なり、いっそう気分の萎えの増幅に見舞われている。寒気はいまだ緒についたばかりなのに、こんなことではこの先のわが身と気分が思いやられるところである。「好季節・秋」真っただ中にあってもわが気分は、その恩恵からすっかり遠のけられている。至極、残念無念である。ところが、このわが気分を見透かしてもくれたかのように、先日の姪夫婦から二度目の「柿、ふるさと便」が送られてきた。まさしく好都合、そののちの日々の私は、生柿を包丁で剥いては頬ばりながら、憂鬱気分癒しに与(あず)っている。柿自体、いっそう膨らみと黄色身を増し、よりいっそう食べごろに熟していた。ふるさとの柿は、まったく薬剤要らずの効果覿面の確かな処方箋(好意)である。ふるさと便は、段ボールに詰められた柿の旨味(うまみ)に加えて、文字どおり様々な「ふるさと情感」を蘇らせてくれるところがある。それゆえにふるさと便は、おのずから詰められた物(今回は柿)の旨味、甘味を増幅させる、魔法の便とも言えるものがある。「きょうは、休みます」と、書くつもりでパソコンを起ち上げた。ところが、出まかせにこんなことを書いてしまった。いや、ちょっぴり、書かずにはおれなかったのかもしれない。夜明けの空はきのうに続いて、どんよりとした寒々しい雨空である。秋空もさ迷っている。わが気分は、二度のふるさと便に助けられている。確かに、休むつもりだったこの文章は、ふるさと便の恩恵の証しである。柿は、たっぷりと甘味を増している。