月が替わって十月一日(土曜日)、文字どおり中秋から晩秋にかけての、秋たけなわの夜明けを迎えている。朝日は照らず、台風に前触れみたいな風が吹いている。けれど、まずは穏やかな月替わりの朝を迎えている。しかし、わが身の場合は、必ずしも穏やかではない。もちろん、気分もすぐれない。さて、きのう夜明けにあっては、早とちりをしてしまった。すなわちそれは、「鼻風邪は持ち込まずに済んだ」と、書いたのである。確かに、夜明けから昼過ぎあたりまでは、風邪症状は消えていた。ところがこの間は、不完全状態をひた隠しにしていただけだった。なぜなら風邪症状は夕方頃からぶり返し、私はたちまち憂鬱気分に取りつかれた。そして、一夜明けた現在もなお、風邪症状に悩まされて、おのずから気分は憂鬱状態にある。挙句、とんだ月替わりを招いている。S医院からもらっていた風邪薬はとうに服み尽くし、今は妻が貰っていた「葛根湯」を盗み服みし、さらにそれに買い置きの市販の総合感冒薬を重ねている。ところが、罹り始めの夏風邪は名を秋風邪に代えて、未だに治りきらないままである。「風邪は大病の基」。そうであれば現在は、肺炎の惧(おそ)れを気にせずにはおれないところはある。だったら風邪などと侮(あなど)らずに、早々に外来患者となるべきときかもしれない。きのうのNHKニュースでは、落語家・三遊亭円楽さんの訃報が伝えられた。私より十も年下(享年72歳)である。きわめて惜しまれる、他界(肺がん)だった。他人様(人様)とは思えず、心からご冥福を祈るところである。わが年齢をかんがみれば、風邪症状を蔑(ないがし)ろにするところはまったくない。もちろん、承知の助ではある。しかし、通院にさえ決断力不足(優柔不断)がともなうのは、わが生来の「身から出た錆」である。秋本番、すなわち好季節の真っただ中にあっては、季節にふさわしい明るい文章を書きたい、書くべきである。しかしながら書けず、とんだ月替わりに成り下がっている。「可もなし、不可もなし」、いや不可だらけの月替わりである。平に詫びて、御免蒙(こうむ)りたい思い満杯である。強風に朝日が加わり始めている。