「灯台下暗し」

 だれが悪いわけでもない。だから、だれかを責めるわけにもいかない。新型コロナウイルスへの対応は、だれもがもっぱら防御に努めるしか便法はない。こんななかにあってだれもが共通に実感できることは、新型コロナウイルスのこのところの新たな増勢ぶりである。いよいよ専門家や分科会(メンバー)も浮足立って、さまざまに強い警告を発し始めている。素人の私にすれば、遅すぎた「さもありなん!」である。
 先日私は、一文においてこんな表題を付した。それは、『映像「玉虫色の会談」』である。メディアが伝えていた会談の当事者は、これらの人たちである。すなわち、国際オリンピック委員会(IOC)・バッハ会長、応じた日本社会の主なる関係者には、菅総理、小池東京都知事、森東京五輪・パラリンピック組織委員会会長、と記されていた。会談内容は新型コロナウイルスのせいで余儀なく、来年へ延期されている「東京オリンピックおよびパラリンピック」の実現に向けての強い決意である。ところがこれにたいし私は、かなりの皮肉を込めて、「玉虫色の会談」と名付けたのである。名付けの理由は、危機感のさっぱり見えない、はたまたまったく伝わらない、手褒めの会談に思えたからである。それからいくらか日が経ち、すでに過去の感慨にすぎないけれど、きょう(十一月二十一日・土曜日)の私は、再びこのときの感慨を蒸し返したくなっている。そのためあえて、二番煎じの文章を書いている。ほとほと、書くにはつらい文章である。(なんだかなあー……)、あの会談を境にして、感染者の激増に拍車がかかった感じである。もちろん、わが下種の勘繰りである。現在、政府や自治体は、気の緩みの引き締めに大わらわである。いやいや、気の緩みは、会談当事者の「灯台下暗し」である。