九州場所、大関貴景勝賜杯

 メディアの報じる配信ニュースから、意図的に新型コロナウイルスにかかわる記事を避けようと思えば、わが意に沿うものは指折るほどもない。きのう(十一月二十二日・日曜日)、大相撲九州場所は千秋楽を閉じた。異例まみれの九州場所だった。九州場所でありながら、例年の福岡開催ではなく、「両国国技館」(東京都墨田区)で行われた。観客は五〇〇〇人に制限された。これらは新型コロナウイルスがもたらした一つの異例である。言うなれば外部異例である。
 もう一つは、今場所限定の内部異例である。二人の横綱と一人の大関は初日から全休し、さらにもう一人の大関(新大関正代)は、早々に途中休場を余儀なくした。結局、五人の横綱と大関の中で、九州場所をまっとうしたのは、大関貴景勝だけにすぎなかった。ところが、幸いなるかな! 貴景勝は奮戦し、大関の面目を保って優勝した。
 前段を長々と書いたけれどわが魂胆は、貴景勝の優勝を伝える配信ニュースを引用するためのものだった。
 【貴景勝、来場所は綱取り「レベルの低い優勝も困る」】(2020年11月22日19時33分 日刊スポーツ)。「大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が18年九州場所以来2年ぶり2度目、大関としては初めての優勝を果たした。本割一発で決めることはできなかったものの、最後は勝ち切った。伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は来年初場所が貴景勝にとって綱とり場所になると明言した。横綱昇進には『2場所連続優勝もしくは、それに準ずる成績』という横綱審議委員会の内規がある。同審判部長は『当然、優勝となればそういう話になる』と説明。今場所は初日から白鵬、鶴竜の2横綱休場に加え、大関朝乃山、目玉だった新大関正代も途中休場した。この状況もあってか、来場所について『当然、優勝となればそういう話になる』と優勝を絶対条件にした。」
 長い夜にあっては真夜中同然(2:32)、私は夜明けまでのあり余る持ち時間を思案するところである。