十一月二十五日(水曜日)、零時頃、二時頃、そして三時頃、とろとろと三度寝にありついて、起き出して来た現在は、4:13の時刻表示である。二度寝ならず三度寝にありついて、私は子どもみたいな心境で、うれしい気分である。普段は一度目覚めれば二度寝がままならず、布団の中で時を浮かべて悶々とすることが多いからである。
かつての私はこの季節の夜長を、寝ても起きても心ゆくまで堪能できていた。ところがこのところの私は、日々夜長の時間を持て余し、恨めしくさえ思うところがある。寝ては熟睡できず悪夢に翻弄され、無理やり起きればおのずから文章を書く気分を殺がれている。
身近なところで人間は、睡眠なかんずく熟睡ほど、幸福につながるものはない。正直者と言えばそうだけれど、せっかくの夜長にあってこんなことを書くようでは、私はほとほと愚か者である。ときには初恋物語などを浮かべて、スヤスヤと長く一度寝をまっとうしたいところである。いかんせん、私には初恋はない。結婚とて、友人すがりの出会いがしらにすぎない。この頃の私は、夜長を堪能することに全神経を遣っている。つくづく、バカな私である。
きょうは決まって水曜日にめぐって来る、歯医者通いである。夜長にあって、「嗚呼、無情」の一文である。私には睡眠薬服用の体験はない。もとより、容易で愉しい睡眠に際し、薬剤にすがるバカではない。自然体の睡眠こそ、わが幸福である。