文章にならない、書けない

九月十日(土曜日)、起きて窓ガラスを開けたら、冷ややかな秋風が吹き込んだ。望む大空は少し明るんで、淡い日本晴れである。ようやく待ちくたびれていた、さわやかな空の夜明けである。それでも風が強いのは、南の海に発生したと言う、台風の前触れであろうか。確かに季節は、台風シーズン真っただ中である。だから、台風11号は去っても、ゆめゆめ安穏はできない。季節は初秋、例年であれば額に汗かく、厳しい残暑の候である。ところが今年は、一向に残暑のない異常季節にある。夏の名残は、とうに早じまいである。異常季節であればまずは、天変地異に恐れるところである。私は自然界および人間界ともに、焦眉の憂いない季節変わりを願っている。書くネタなく、出まかせ、書き殴りの十分間程度のお茶濁しの文章である。それゆえ、無理してこの先を書くこともない。このところの私は、寝床の中で様々な妄想をめぐらしている。いや、いろんな妄想に取りつかれている。もちろん、こんなことでは二度寝や安眠にありつけるはずはない。今や、私にとっての寝床は、睡眠をむさぼる場ではなく、果てし無く妄想のめぐる場と化している。至極、残念無念である。しかし、幸運にも昨夜にかぎれば二度寝にありついた。ところがその挙句、執筆時間に追われて、ネタをめぐらすことなく、こんな文章を書いている。気分が良い割には、しっちゃかめっちゃかの文章である。恥じて、この先を書くのは控えたい。先ほどの淡い日本晴れは濃くなり、満天下、朝日が煌煌と光っている。望んでいた胸の透く秋の訪れである。だから私は、ようやく訪れたさわやかな秋にしがみついて、気分直しをしたくなっている。しかし一方では、かたじけなく思う、秋の夜明けである。殴り書きを止めた。