八月二十三日(火曜日)、このところの気候は、すっかり秋モードに変わっている。いよいよ、過ぎゆく夏を惜しんでの、悪あがきの残暑の候である。令和四年、高校野球夏の大会(阪神甲子園球場)は、宮城県代表校・仙台育英高校の初優勝(栄誉)で閉幕した。そしてこれには、優勝旗がかつての白河の関を越えて、東北勢としての初めての栄誉(栄冠)が刻まれた。それだけに宮城県にとどまらず東北各県人の喜びは、ひとしおだった。もちろん、私としてもその栄誉を、両手叩いて称えている。夏の高校野球は、真夏の風物詩として定着している。それゆえに決勝戦が終わると、一気に夏の終わりのゴングが鳴り響いてくる。もとより夏の大会は、学び舎の夏休み期間を利用して行われる。だから決勝戦が終わる頃は、高校にかぎらずそれぞれの学び舎の夏休みが終わる頃となる。すなわち、児童、生徒、学生には、寂しさ募るところである。加えて彼らは、今週あたりは夏休み中の宿題の仕上げに、てんてこ舞いであろう。今や学び舎とはまったく無縁の私であっても、夏の終わりにあっては、気もそぞろに寂しさ募るものがある。もちろん、今や宿題は免れている。しかしながら私は、宿題よりはるかにバカでかい、人生の課題に四苦八苦させられている。すなわち、早や秋風の吹く季節の速めぐり(感)は、日々いのちの縮む思いである。こういう思いをたずさえて、わが人生はなすすべなく閉じるのであろう。確かに、バタバタしてもどうしようもない、季節のめぐりである。だとしたら「ゆく夏を惜しむ」より、泰然と「くる秋を愉しむ」、心境にならないかと願うところである。しかしながらその願いは空念仏にすぎず、私は日々季節の速めぐり(感)に慄いている。生来、私はとことん損な性分である。仙台育英高校の凱旋帰郷および帰校は、きょうあたりであろうか。再び拍手して、わが気分を直したいものである。それより先に山の鳥は、朝っぱらから鳴きずくめで、わが気分を癒している。つくづくなさけないなあ……。