不意打ちの「寒気団」

 十二月六日(日曜日)、悪夢にも魘(うな)されたけれど、それよりなにより寒さが身に堪えて、起き出してきた(3:54)。いよいよ冬将軍のお出ましかな! と、思える寒気著しい長い夜に身を置いている。だからと言って私は、自然界の仕打ちにたいし、手の平返しに恨みつらみは言えない。なぜならこれまでの暖かさには、私は望外の恵みをたまわり続けてきたからである。
 現在の寒気は、異常気象を正した季節相応にすぎない。わが身が震えているのは、期間限定の異常気象がもたらした暖かさを、のほほんと貪(むさぼ)っていたことにたいする、罰当たりなのであろう。言葉を重ねれば身に染みている寒気は、わが頓馬(とんま)のせいと言えそうである。
 いよいよ年の瀬は、本来の寒気団を引き連れて深まることとなる。すると私は、防寒にたいして緩んでいた意識を、あわてふためいて正さなければならない。現在の私は、飛んだ戒(いまし)めをこうむっているところである。今年は生まれて初めて、早々にインフルエンザの予防注射を打っている。効果のほどは知らないけれど、気休めにはなっている。インフルエンザ以外に風邪をひいたり、新型コロナウイルスへ罹患した場合は、明らかにわが落ち度である。だからこの際、気の緩みの隙(すき)を衝かれないよう、強く気を引きしめるところである。なお欲張って、つつがない年の瀬を希(こいねが)うところである。
 ネタのない書き殴りにあっては、この先が書けない。不意打ちの寒気に遭って、わが身はブルブル震えている。年の瀬にあって、実の無い『ひぐらしの記』は、十四年目をヨロヨロとめぐっている。