ようやく叶えた、短い文

六月十五日(水曜日)、二度寝にありつけず、仕方なく起き出してきた。「丸山宏子さん」は掲示板へのご投稿はないけれど、『流星群』では親しい投稿仲間である。宏子さんの旧姓は「松本」である。渕上先生の名簿帳の点呼にあっては、わが名・前田の次に、「松本さん」、と読まれた。ドキドキした。たったこれだけで、わが人生における初めての淡い恋心が芽生えた。実りはなかった。だけど、しがないわが人生を、風船みたいにふくらましてくれた。気狂いなく、ようやく短い文章を叶えた。寝床へとんぼ返りをする。スヤスヤと、安眠に就けるのか。それとも、いっそう悶々とするのか。それはわからない。雨が降っている。