どうにもならない自然災害などで奪われる人の命には、ただただ忍び難い気持ちが充満する。軽率きわまりない人の行為で奪われる人の命には、ただただ腹立たしさだけが充満する。このたびの「北海道・知床半島沖、観光船事故」のニュースを聞いたおりの、苦々しいわがつぶやきである。実際のことは何も知らない。だから、これ以上のことは言えないし、もちろん書けない。そのため一つだけ書いて、結文とするものである。まさしくそれは、近場の物見遊山をはじめとするさまざまな行楽にもってこいの観光シーズン到来のさ中にあっての、きわまりない痛憤をおぼえるニュースだった。
「ひぐらしの記」は、わが日暮らしだけではなく、ときには人様の暮らしぶりも書かなければならない。人の命とは、もとより自分だけの命に限るものではない。だから人の命は、「相身互い身」、みんなで支えなければならない。すなわち人の命は、独り善がりは許されない、尊いものである。四月二十六日(火曜日)の夜明け、いつものウグイスの鳴き声に、私は哀切感をつのらせている。