天皇誕生日

 このところはネタ切れのせいでわが柄でもない、こむづかしいことを書いている。もちろん自分自身にも、感興などちっともおぼえない。まして読者各位様には、面白味の欠片にさえかすりもしない。おのずからこんな文章は、厳しく慎まねなければならない。私は、自戒ひとしおに苛まれている。
 だとしたらどんな文章を書けば自分自身、納得できるのかと、自問を試みる。これにたいする自答は、どんなにしゃちほこだちにしても、納得できる文章が書けるはずはない。結局は、自分自身の無能力の認知にたどり着く羽目となる。ところがきょう(二月二十三日・水曜日)もまた懲りずに、まったく面白味のない文章を書いている。すると、寝起きの身の寒さを堪えてまで、書く価値は毛頭ないと、自覚しているなさけなさである。
 日本社会にあってきょうは、今上・令和天皇陛下の誕生日(六十二歳)である。カレンダー上には「天皇誕生日」(祝祭日)と、記されている。ところが世界事情は、「ウクライナ問題」に端を発して、当事国とロシアさらにはアメリカを先途とする西側諸国をからめて戦火、一触即発状態にある。もちろん日本の国とて、対岸の火事として手をこまぬいてはおれない、火の粉が降りかかる状態にある。それゆえ現下の日本の国は、火の粉を払うことに懸命かつ腐心する状態にある。
 加えて、新型コロナウイルスの感染状況は、いくらか勢いを落としつつあるとはいえ、それでもなお高止まりに状態にある。祝福すべき天皇誕生日における、憂える二大世界事情である。天皇陛下の柔和なまなざしも、おのずから曇りがちになられよう。自然界現象のコロナはともかく、万物の霊長と崇められる人間界にあって、ところが当の人間によって、人の世がごちゃごちゃに汚されている。汚名返上というより、万物の霊長の地位はとっくに錆びて、御名返上すべきところにある。
 きょうもまたネタ不足のため、わが柄でもないことを書いた。もちろん、感興などちっとも沸かない、いや始末におけない駄文である。心底より、恥じ入るところである。憂鬱気分休めは、夜明けの空の、のどかな朝ぼらけに託している。