余儀ない外出予定

 新型コロナウイルスの感染者数において神奈川県は、東京都、大阪府に続いて常に第三番目の高位にある。二度ほどは東京都を凌いで、第一位を占めていた。もちろん、誇れるランキングではなく、日々戦々恐々を強いられている。だから、政府や行政の呼びかけ、すなわち「ステイホーム」に呼応し、できるだけ外出行動は控えめにしている。それでも、食料の買い出しだけは避けられない。それゆえに買い物行動の間隔をあけて、私はできるだけ外出回数の削減に努めている。いつどこで感染するかわからないための、自主、自衛の心構えの実践である。とりわけ私は、感染しやすい年齢層として世間に迷惑をかける、八十一歳の高齢者である。そのため、意識して軽はずみな行動は、みずから厳しく慎まなければならないと、肝に銘じているところである。
 妻もまた、三歳下の高齢者である。妻の場合は特に、入院生活を終えて現在は、これこそ本物の自宅療養者、実際のところは自宅でのリハビリ患者である。おのずからコロナ蔓延中の俗塵にまみれることは、心して避けなければならない身体事情にある。ところが、入院や自宅療養中でもあって、妻は髪カットに行けずじまいになっていた。そのためきょう(二月二十一日・月曜日)、妻の外出控えの禁を破り、二人には髪カット行動を実践する予定がある。すでに、妻の馴染みの美容院にあって、担当者指名で予約済みである。行き先は、わが家の買い物の街・大船(鎌倉市)である。普段は往復江ノ電バス(本社・藤沢市)の利用だけれど、タクシー利用を決め込んでいる。私の場合は、引率と言えば聞こえがいいけれど、余儀ない介助者である。先日、髪染めの手伝いは実行済みである。少しずつ、介助の楽しみがわかりつつある、わが今現在の心境である。
 幸いなるかな! 朝日は、時間を追って暖かくなりそうな春の陽ざしの気配にある。老夫婦の外出行動には、ありがたい天恵である。