夜は長い

 十二月十二日(日曜日)、4:34。目覚めた。生きている。起きた。パソコンを起ち上げた。頬杖をついている。書けない。止めよう。現在の心境である。
 世の中は、年の瀬にある。何も用事はない。だから、焦ることはない。しかし、忙しい気分である。やはり、年の瀬のせいであろう。年の瀬の大掃除は、今や断捨離をまじえた終活である。きのう、ちょっとだけ試みた。ちっとも、いやまったく捗らない。イライラした。止めた。
 自分が先に逝けば、妻に迷惑をかける。これは避けたい。妻へのささやかなほどこし、いや究極の愛情を胸に置く。ところが、わが意思に反し、片づける片っ端から、元のところへ戻る。止めた。断捨離は、妻の生存中は不可能である。結局、わが家の終活は、共に息の根が絶えたときこそ完結である。その間、イライラするのは大損である。まったく妙な、悟りの心境を得た。挙句、年の瀬の大掃除は、未達のままに打ち切った。
 ソファにもたれて、日向ぼっこで、切ない気分を鎮めた。しかし、まだ気分は鎮め切れていない。いや、なおイライラしている。だからこの先、文章が書けない。止めた。「冬至」(十二月二十二日)を十日後にひかえて、夜は長い。