癖になりそう。いや、すでに悪い癖になっている。もう文章は、書きたくない。こんな文章は、書きたくない。十二月九日(木曜日)、きょうもまた真正の真夜中、すなわち一時近くに一度目覚めて、二度寝にありつけなかった。数えるにはばからしいほどに、何度となく右左、正面、そして、左右へと寝返りを打った。この世にあって、眠ることに苦闘することほど、馬鹿らしいことはない。
きのうの夜は、身悶えに負けて起き出し、パソコンを起ち上げ、夢遊病者のごとくに指を動かして時間潰しを敢行した。同時に、気分休めを狙った。もとより、文章とは言えない作業に、賭けたのである。一応、功を奏して、再び寝床に就いた。幸いにも、眠りに落ちていた。逆コースのパソコンへのとんぼ返りは免れた。
ところが、先ほどはきのうとは違って起き出すことなく、眠りにつく方法を探りめぐらしていた。もとより、睡眠薬の服用の体験はまったくない。その理由はこうである。眠ることになんで? 金をかけて薬にすがらなければならないのか。それはすなわち、わがケチ精神で、銭失いを嫌っているにすぎない。
さて、眠り薬の代わりに探り当てたのは、人生の原点返りだった。それは、なかんずく楽しかったことに、思いをめぐらした。するとやはりそのころは、小学校へ上がる前あたりから、小学生時代にほぼ凝縮し想起された。中学生になると、人生行路の茨道が次々に現れ始めていた。さてさて、浮かぶままに飽きずに、列挙を試みよう。そして、小学一年生のころの「綴り方教室」を真似てみよう。水浴びは楽しかったなぁー。魚取りや魚釣りは、楽しかったなぁー。蝉取りは楽しかったなぁー。ハサンムシ(クワガタ)やカブトムシ捕りは楽しかったなぁー。椎の実拾いは楽しかったなぁー。メジロ落とし(捕り)は楽しかったなぁー。小川のメダカ掬いや、サワガニ捕りは楽しかったなぁー。トンボ掴みやホタル狩りは楽しかったなぁー。レンゲソウの上の寝そべりは楽しかったなぁー。カワセリ、ヨモギ、ノブキ、ノビル摘みは楽しかったなぁー。ギシギシ、スカンポの生齧りは楽しかったなぁー。独楽打ち、カッパ(メンコ)、凧揚げ、みんな、楽しかったなぁー。正月遊びのトランプ、スゴロクは楽しかったなぁー。意識して、怖かったことはやめにした。もっと、眠れなくなるからである。いつの間にか、スヤスヤと二度寝に落ちていた。
現在、パソコン上のデジタル時刻は。5:06である。目覚めの気分は、きわめて良好である。あすの夜には、こんな馬鹿げた文章は書かずに済む。東京都国分寺市に住む次兄宅へ泊りがけで出かけるためである。ところが、楽しい訪問ではない。あす朝九時から行われる、義姉の葬儀への参列のためである。今夜は納棺式という。あすの早出ではこころもとないゆえ、泊りになりそうである。休筆、必ずしもうれしくはない。次兄宅で眠れず、夜通し悶々とすることを恐れている。