人は、目覚めると起き出してくる。朝の訪れである。人は、眠くなると床に就く。夜の訪れである。この間の昼間にあっては、人はそれぞれにさまざまな生存の営みに着く。日常生活、すなわちこれ「日暮らし」と言う。日暮らしの連なりは、「暮らし」である。ことばを換えれば、「人生」である。ことばで凝縮すれば人生とは、ざっとこんなところである。ところが、まっとうするには難行苦行や艱難辛苦がつきまとう。私は、こんなことを寝床の中でめぐらしていた。もとより、安眠できるはずはない。仕方なく、夜明け前に起き出している。つれない、わが日常の始動である。心中のさ迷いとは裏腹に、(なんだかなあ……)、目が冴えている。人生晩年における、わが暮らし(ぶり)である。まったく、様にならない。表題のつけようはないけれど、「暮らし」にしよう。