郷愁

 きのう(五月十五日・土曜日)、気象庁はわがふるさと県・熊本を含む九州北部地方の梅雨入りを宣言した。あまりの早さに虚を衝かれた私は、ドギマギした。次の引用文は、それを伝えたメディア配信の一部引用文である。
 【熊本県内梅雨入り 統計開始以来2番目の早さ】(熊本日日新聞 2021年05月15日20:00)。「福岡管区気象台は15日、熊本県内を含む九州北部地方が梅雨入りしたとみられると発表した。平年より20日早く、1951年の統計開始以降、54年(5月13日ごろ)に次いで2番目に早い。九州北部の梅雨明けは、平年が7月19日ごろ。昨年は7月30日ごろだった」。
 閑話休題、文中記載の相良寺(あいらじ)は、直線距離にしてわが生家から500メートルほどの距離に位置する観音様である。近郊近在では昔から「安産のお寺」として、多くの参拝客を呼び込んでいる。なかでも、参段脇の「トビカズラ」は、寺の名声に大きな役割を担っている。こちらは送られてきた新聞からの全文転載である。ふるさと便と共に、熊本日日新聞(通称熊日)が意図して添えられていたのである。送ってくれたのはわが姪っ子の渡辺康子さんである。姪っ子は嫁いで冨田姓を変えて、現在は相良寺の近くに住んでいる。文中の冨田靖明君は、姪っ子の三男である。
 「国の特別天然記念物『相良のアイラトビカズラ』が山鹿市菊鹿町相良の自生地で見頃を迎えている。推定樹齢千年にもなるマメ科の古木で、ツルから垂れ下がったブドウの房に似た紫色に花を咲かせる。市によると、冬場の霜などで花数は例年の半分ほどだが、5月の連休中まで楽しめるという。名前の由来は源平合戦の頃、近くの相良寺が焼き討ちされた際、千手観音がカズラに飛び移って難を逃れたという伝承にちなむ。現在は相良寺でも花を咲かせている。自生地では昨年、一部が誤って伐採された上、豪雨で斜面の一部が崩れるなどした。見回りを続ける菊鹿市民センターの冨田靖明さん(45)は、『困難に負けず、花が咲いてよかった。自生地の6割はまだ立ち入り禁止なので気を付けて』と話した。」
 記事は写真添付だけれど、私には写真転載の技術はない。できれば写真愛好家のふうちゃんから、手持ちの写真の張り付けを願いたいものである。姪っ子は、今なおきわめて子煩悩である。記事にわが子の名が載った嬉しさを抑えきれなかったのであろう。もちろん、いたくわが共鳴するどころである。郷愁とは、「百薬の長」にもはるかに勝る、天からさずかる飛びっきりの恩恵である。早い梅雨入りの中の、ふるさとそして人々の安寧を願うところである。