初夏と大型連休、しかし……

 月が替わって五月一日(土曜日)、もう晩春とは言えなく、明らかに初夏の季節である。朝日の輝きには「晩」という暗さは微塵もなく、明るくさわやかな夜明けが訪れている。窓ガラスに垂れるカーテンを開ければ、目先の山は緑色に映えている。
 春から夏へと季節替わりを告げる確かな証しは、「立夏」(五月五日・水曜日)を記して、今週半ばに訪れる。カレンダーにはきょうからその日まで、三日の赤字の祝祭日が記されている。すなわち、憲法記念日(三日・月曜日)、「みどりの日」(四日・火曜日)、そして「こどもの日」(五日・水曜日、立夏)である。あすの日曜日(二日)を挟んで今週は、まさしく五日間の連続休暇の訪れにある。日本社会はこれに先立って、過ぎた「昭和の日」(四月二十九日・木曜日)から、すでに大型連休すなわちゴールデンウイークに入っている。頃は良し、海・山賛歌の季節真っただ中でもある。連休や好季節に応じて多くの国民は、物見遊山の楽しみに耽るときでもある。
 ところがこんな好機会にあって、去年と今年のゴールデンウイーク共に、邪魔者が人々の行楽の足に通せんぼをしている。それは言わずと知れた、憎さ百倍の新型コロナウイルスの妨害である。こんなに朝日が輝き、自然謳歌あふれるなかで、足止めの呼称「ステイホーム」を食らっている国民は、恨みつらみ満タンである。つくづくもったいない、初夏の朝日の輝きである。
 今朝はステイホームの呼びかけに甘んじて呼応し、普段にも増して見知らぬ散歩めぐりの人たちが多そうである。そうであれば私は、大慌てで周回道路の掃除へ向かわざるを得ない。年じゅうステイホームを強いられているわがささやかな「おもてなし」である。このことを口実にして、実の無い文章の結文とするところである。
 私にはまったく代わり映えしないけれど、世の中の人たちが待ち望んできた大型連休の訪れである。「ちくしょう、新型コロナウイルスめ!」。煌煌と照る朝日の輝き、「もったいない、もったいない!」。