延長戦続く、新型コロナウイルスとの闘い

 どこまで続く、泥濘(ぬかるみ)ぞ! 人間社会の穏やかな日常が、始末に負えない新型コロナウイルスのせいで、日々砕けてゆく。東京都、京都府、大阪府、兵庫県の四自治体は、きょう(四月二十五日・日曜日)から、三回目となる「緊急事態宣言」の開始となる。期間は、来月・五月十一日(火曜日)までの十七日間という。設定理由は、第四波と言われているぶり返しに抗しきれなく、短期間で勢いを止めるためだという。
 この間における日本社会にあっては、大型連休がある。そのため政府や自治体には、この連休期間に便乗して、人の移動を抑え込みたい意図がある。なぜなら、大型連休にあって無策を決め込めば、人の物見遊山にともなう、新型コロナウイルスのさらなるまき散らしが懸念されるためである。
 確かに、新型コロナウイルスの蔓延を抑え込むには、国民は行動の自粛を強いられても、我慢するより仕方ないところがある。しかし、年に一度の大型連休を楽しみにしている人たちにすれば、我慢しきれない思いがあろう。このことでは不意打ちを食らった、我慢くらべをこうむることとなる。
 わが現住する神奈川県は、今回はこの宣言から外れている。しかしながら、我慢比べを強いられることでは、もちろんこれらの自治体と同類項にある。ときあたかも自然界は、一年じゅうで最も好季節を恵んでいる。もとよりそれを当てにして日本社会は、官民こぞって大型連休を仕組んでいる。ところが新型コロナウイルスは、まるで日本社会のこの期間の営みや享楽を妬(ねた)むかのように、さらなる感染力を日本列島に蔓延(はびこ)らせている。
 さて、わが身体におけるワクチンの接種予約開始は、五月十日からと鎌倉市の公報で告げられている。同時に、二度にわたる接種会場間の往復の用立てとして、無料のタクシー券(四枚)が送られてきている。関係者の多忙と苦悩をおもんぱかれば、私は生来のへそ曲がりを矯(た)めて、素直に応じるつもりでいる。だから、なんとしてもそれまでは行動の自粛、いや蟄居生活(ちっきょせいかつ)に甘んじも感染を免れて、晴れてワクチン注射針を右肩に、ブスッと刺す心構えを固めている。
 今朝もまた、すでに朝日が煌々とふりそそいでいる。わが自然賛歌は尽きない。もちろん、新型コロナウイルスは自然界の範疇(はんちゅう)には入らず、人間社会を無法に懲らしめる異界の魔物、なかんずくとびっきりの悪魔である。そうであれば人間の知恵で、新型ウイルスに負けてはならない。私もその決意を固めている。しかし、負けそうである。