四月十一日(日曜日)、のどかな朝ぼらけが訪れている。ところがこの頃は、昼間はともかく、朝夕は遅れてきた花冷えに見舞われている。そのため、わが気分は委縮している。
新型コロナウイルスは、四度目の勢いを増しつつある。収束の目途、いまだ立たずである。おのずからわが気分は、輪をかけて打ちのめされている。もちろん、世の中の空気、人様の暮らしぶりなど、おおむね翳(かげ)ったままである。すると、自分のことは棚に上げて柄に無く、人様の日常を気遣い、「いかが、お暮らしですか?」と、問いたい気分である。
新型コロナウイルスに見舞われて以来、すっかり世の中の空気が変わり、人様の日常や暮らしぶり変わった。ひと言で表現すれば、日々恐々とするありさまである。新型コロナウイルスの抑え込みには、専門家集団の助言をよりどころにして、政府および自治体こぞっていろんな手を尽くしてきた。しかしながらいまだに、レスリングルールを借りればフォール勝ち(抑え込み)とはならず、贔屓目(ひいきめ)に見ても、反則勝ち程度にすぎない。この間の関係者の涙ぐましい努力をかんがみれば、もちろんこんな表現は慎むべきとは心している。それでも、あえて用いたくなる成句は、「イタチごっこ」である。
このやりとりに止めを刺すのはやはり、人間の知恵が生んだワクチンと、その早期の接種であろう。メディアから伝えられるところによればワクチンの効果は、懸念されていた副作用は微々たるものにすぎず、その効果甚大という。人類の知恵にさずかり人民は、うれしい悲鳴にありついている。新型コロナウイルス禍にあって、人類共通の朗報である。半面、世界中の人々にワクチン接種が完結しなければ、人類は新型コロナウイルスとの闘いには勝てないという、確かな証しと言えるのかもしれない。気が抜けるほどに遠望する闘いだけれど、私は他力本願に、人類の勝利を信ずるところである。