「春眠暁を覚えず」

 四月九日(金曜日)、「春眠暁(あかつき)を覚えず」、寝坊してしまった。起き出して、焦燥感まみれになっている。こんな心理状態では、この先の文章は書けない。なんだかんだと理由をつけて、このところの私は、ズル休みに逃げ込んでいる。ウグイスの朝鳴き声は、すでに佳境を呈し、わが気分を癒している。ウグイスに「恩に着る」日が続いている。
 普段の買い物にあっては好物のノブキが加わり、私は次々に出番を迎える旬(しゅん)の山菜の美味しさに舌鼓を打っている。ところが、肝心かなめの桜の季節は、見物および団子の宴(うたげ)共に、自粛を強いられて遠のけられた。桜は余儀なく歓心を殺がれているうちに、花落ちて葉桜の季節へ向かいつつある。自然界の恵む春の彩りに癒しを求めるわが心情には、切々たるものがある。それでも私は、それらの恩恵にすがらなければならない。自力本願叶わず、自然界の恵みにすがるわが日暮らしである。
 焦る心に勝てずこの先は、常態化しつつあるズル休みの実践である。朝日はカンカン照りである。