12月20日(金曜日)。起き立てにあってまずは、洗面の水の冷たさに身を縮めている。次には、ネタ探しに心を痛めている。しかし、こんなことばかりでは、わが身は保てない。だから、気持ちの和むことを浮かべている。イの一番に浮かぶものでは、スラスラと文章を紡がれる大沢さまへの憧れである。大沢さまは天賦の才と、ご両親からさずかる才能、さらには自ら育てた知能に恵まれてご幸福である。
せっかくの気分の和みに逆行するけれど、わがしがない性(さが)ゆえに、やはり書かずにおれない。起き立てにあっての私は、二強との戦いを強いられて、抗戦いや防戦の最中にある。一つは、わが心中に蠢(うごめ)く「弱虫」との戦いである。弱虫とは私自身が蔑(さげす)んで名付けたものだけれど、実際には手に負えない強敵である。こちらは、精神的戦いである。そして一つは、寒気との戦いである。こちらは、身体的戦いである。こちらも防戦とはいえ、人工の手立て(武器)にすがり防ぎようはある。
防ぎようのないのは、「弱虫」の腹を決めた大胆不敵の心中における居座りである。それゆえにこちらは、おのずから持久戦になりそうである。ようやくネタとは言えない、心寂しい世相の一端が浮かんでいる。これまで「治安の良い国」という美称や美徳をさずかってきた日本の国は、このところ一気に奈落の底へ落ち始めている。制限時間のあるNHKテレビニュースは、もはや時間内では伝えきれないほどに、事件の多発状態にある。ニュース項目一覧の中に並ぶものは、厄介な事件ばかりである。所かまわぬ広範囲の闇バイトと詐欺事件、北九州市における中学生男女の殺傷事件、さらには千葉県における奇怪な事件などが連発で伝えられている。もはや、命短い私がこれらを危惧して、心を痛めることには、確かに大損のところはある。しかしながら老い先短いゆえに、かつまた84年も日本の国に住んできていることから、やはり事件の多さには気懸りと気分の滅入りが生じている。挙句、事件の多さの原因や誘因は何であろうかと、なけなしの脳髄をひねっている。けれど、自分自身に分かるはずはない。だから、現役時代にあって辣腕刑事と名を馳せた、竹馬の友・ふうちゃん(ペンネーム・ふうたろうさん,大阪府枚方市在住)を浮かべている。
再起途上の文章は、ようやく書けただけでもいいだろう。それゆえ尻切れとんぼのままに、ここでおしまいである。年の瀬は十日余を残すのみである。新たな事件は、真っ平御免蒙りたいものである。大沢さまのお言葉を借りると、夜明けごろの寒さは日中になれば、汗を拭うほどに暖かくなるだろう。手に負えないのはわが心中における弱虫の蠢きと、日本社会における悪党の横行跋扈である。
再起途上の文章は、ヨタヨタ
