わが涙腺が緩んだ、「感動きわまる敗戦」

 2月25日(日曜日)。「あすも、卓球のことを書きそうである」。この予告にしたがって私は、きのう「卓球・世界選手権団体戦」のことを書く。これまで、このことに関して何度も書いてきたことは、きょうで書き止めである。実際にはわが文章はそっちのけにして、手っ取り早くメデイアが伝える引用文にすがっている。それでも、その前には心中に浮かべていたことを書く。それはあらゆる戦いにつきまとう、勝敗を分ける常套語であった。もちろん、わが生涯学習における現場主義のおさらいである。
 戦争における勝ち負けの表現は、おおむねこれ一辺倒しか浮かばない。すなわち、勝てば戦勝(国)、負ければ敗戦(国)である。敗戦に対しズバリ、勝戦とは言わない。数々、浮かべていたことは、スポーツの試合における勝ち負けの表現だった。これには試合の内容に応じて、勝ち負けを表す様々な表現がある。私はそれらのいくつかを浮かべていた。
 辛くも勝つ(辛勝)、惜しくも負ける(惜敗)、快い勝ち方(快勝)、惨めな負け方(惨敗)、木っ端みじんに打ち負かす(完勝)、ぐうの音も出ない負け方(完敗)、などなどである。これらの中から選べば、きのうの決勝戦における日本の女子チームは惜敗、対する中国チームは辛勝だった。以下は、メデイアの伝える引用文である。
 【世界卓球】日本女子、53年ぶり世界一ならず涙 中国と歴史的激闘の末…悔し銀メダルも大健闘に会場拍手(2/24・土曜日、23:42配信 スポニチアネックス)。卓球・世界選手権団体戦第9日(2024年2月24日 韓国・釜山)。女子決勝が行われ、日本は2-3で中国に敗れ、5大会連続の銀メダルとなった。日本は張本美和(15=木下グループ)、早田ひな(23=日本生命)、平野美宇(23=木下グループ)でオーダーを組み、伊藤美誠(23=スターツ)と木原美悠(19=木下グループ)が応援に回った。1番手で世界16位の張本は同1位・孫穎莎に挑戦。世界女王に食い下がったが、0-3でストレート負け。2番手の世界5位・早田は、同3位で東京五輪金メダリストの陳夢を逆転の3-1で下し、1-1のタイに戻した。世界18位の平野は世界ランク2位・王芸迪にストレート勝ち。2-1として、第4試合の早田につないだ。第4試合は早田と孫の日中エース対決。第1ゲームは2-11、第2ゲームは巻き返しを見せたが7-11と連続で落とした。第3ゲームは一進一退の攻防の中、力を振り絞ったが6-11でストレート負けを喫した。2-2で15歳・張本に命運が託された。最終決戦に臨んだ張本は東京五輪金メダリストの陳夢と対決。第1ゲームを11-4で先取すると、第2ゲームではラリーの応酬の中で、7-11でタイとなった。第3ゲームは攻め込んだが8-11で落とし逆転を許した。それでもサーブを工夫するなど相手を揺さぶるなど奮闘。第4ゲームを落として万事休した。重圧の中で戦って敗れた張本。試合後、早田らチームメートに抱きしめられて涙をぬぐった。それでも最強・中国を相手に堂々のプレーを見せた。手に汗握る激闘を展開した日本チームに会場からは大きな拍手や歓声が贈られた。
 負けても勝ってもスポーツの試合には涙腺が緩む感動がある。ところが、戦争の勝ち負けは、共に涙が尽き果てた残酷さばかりである。