晩秋、雨の夜明け

 10月15日(日曜日)、現在のデジタル時刻は5:41を刻んでいる。なのに、いまだに夜明け前の暗闇である。なぜだろうと思い立って、傍らの窓ガラスを開いて、外灯の灯る直下の道路を凝視した。すると、雨が降り続けて、雨粒が光り跳ね返っている。そうだったのかと、こころもち安堵した。雨降りだけれど自然界は,季節を刻んで正常にめぐっている。それに引き換えこのところの私は、短い文章さえ沙汰止みを続けている。きょうも、そのつもりだった。夜長の走りにあって案の定、予期どおり文章を書くネタもなく、書く気力も失せているせいである。ならば、マスメディアが報じる配信ニュースの引用を思い立った。だけど、好悪の事柄、興味をそそる項目はなく、ぷっつり諦めた。ゆえに現在は、こんな無様な状態である。
 だから、一つだけ私日記らしいことを添えれば、きのうの私はまったく久しぶりに、卓球クラブの練習へ出向いた。それも、わが単独ならずに、妻をともなって出かけた。まさしく、思い立ったら吉日、好都合の異変だった。卓球クラブの男女の仲間たちは、妻の姿を見て一同に驚きを露わにして、そののち大歓迎してくれた。帰宅後の妻は、「パパ。きょうはとても楽しかった。行って、よかったわ」と、言った。私は報われた。もちろん、仲間たちの好意のおかげである。人間はやはり、優しい人情を持つ、文字どおり優れた動物である。きのうの私は、不断の天邪鬼精神を捨て去り、素直に人間に感謝したのである。
 きょうは、約十分、このことを書いて、継続が断たれることを免れるつもりである。かたじけなく思う、ようやく白み始めた雨の夜明けである。