2月10日(金曜日)、起き出して来てカーテンを開き、窓ガラスを通して、舗道を眺めた。未だ夜明け前にある。雪は、降っていない。きょうの関東地方は、大雪予報である。予報の外れがなければ雪は、昼時あたりから降るのであろうか。体感的にきのうは、一日じゅうこの冬で最も厳しい寒さだった。茶の間のソファに背凭れていても、寒くて身震いをおぼえていた。現在、火の気のないパソコン部屋は冷え切っている。自然界は、梅雨明けには人間界に大雨を降らし、なんらかの災害をもたらすものである。すなわち、無傷にすんなりとは明けてくれないという、最後の悪あがき現象が多々ある。これと似たものは、冬から脱し春の訪れあたりの気象である。すなわち、これまた最後の悪あがき現象のごとく、猛烈な寒気に加えて、大雪をもたらす傾向にある。大雪予報のきょうあたりが、本格的な春を迎えるにあたっての、最後の胸突き八丁と言えそうである。そうであれば耐えて、春の訪れに希望を託すところである。きのうの文章は、「ひぐらしの記」の頓挫を恐れて、メディア報道にすがっただけである。実際には「トルコ地震」にまつわる記事を引用し、さらには4人の日本人・容疑者のしでかした悪徳を書いた。前者は、天災をおもんぱかっただけで、仕方のないものだった。一方後者は、日本人の徳の落ちのぐあいをかんがみて、嘆かざるを得なかった。しかしながらこちらは、もともと悪人のしでかした悪徳ゆえに、日本人の徳からは埒外(らちがい)と言えるものではある。だからこの事件に比べれば、日本人の徳の落ち込み、徳の廃れを感じて、もとより嘆き悲しむべきものはこちらである。すなわちそれは、このたびの「東京オリンピックおよびパラリンピック」における、組織体と企業体にまつわる悪徳報道である。こちらは善人面をした個人の絡む組織と企業がしでかした悪徳ゆえに、こちらこそ日本人の徳が地に落ちたことを嘆かずにはおれないものである。きょうはこのことを書き足したくなり、パソコンを起ち上げたのである。「おお、寒い」。寒気に加えて、日本人の徳の汚(けが)れと落ち込みを嘆いているせいである。こんな暗いネタで、「ひぐらしの記」の継続が叶えられるのは、もちろんわが本意ではない。夜が明けても、雪は降っていない。だけど、寒さが身に沁みる。