立春

「立春」(2月4日・土曜日)。春は風・嵐。草木は芽吹く。春眠。季節はめぐる。わが残りの命は短く縮む。起き立てに浮かんでいる、立春にちなむわが感慨である。一年の始めの日は元旦である。春夏秋冬・四季の始めの日は立春である。すなわち立春は、季節めぐりの始めの日である。茶摘みの頃の「八十八夜」も、台風シーズンを表す「二百十日」も、立春を起点として数えられる。それほどに立春は、人の生活に待たれている。裏を返せば、冬衣を脱ぎ捨てて、春を迎える喜びの証しである。さらに浮かぶ言葉や成句を重ねれば、春風駘蕩、春日遅遅、春はあけぼの、春眠暁を覚えず、などがある。もちろん春は、長閑(のどか)な日ばかりではなく、「春に嵐」はそれらを凌ぐ「春のいたずら」である。こんな子どもじみた遊び心はどうでもよく、冬嫌い、いや寒気嫌いの私は、立春の訪れの悦びに浸っている。確かに、立春は起き立てにあって、寒気を遠のけている。喜ぶべきか、今朝もまた、寝坊してしまった。それゆえ、尻切れトンボを恥じずこれでおしまいである。いや、春は恥かく季節でもある。