それぞれの夜明け

 1月27日(月曜日)。デジタル時刻は5:16と刻んでいる。夜明けは早くなり始めていても、未だ夜明け前にある。季節は三寒四温を繰り返し、確かな春へ向かっている。さしずめきょうは「温」にあたるのであろうか。寝起きの身体に、寒気は緩んでいる。きょうのわが行動予定には、予約(午前10時)の歯医者通いがある。ゆえに現在、心急くところがある。このこともあってきょうは、メディアが伝える記事を引用し、わが記憶に留めるものである。悪しからずまずは、平に詫びるものである。
 さて、きのうの千秋楽における優勝を決める「巴戦(3力士、豊昇龍、王鵬、金峰山)」は、感涙を呼ぶ熱戦だった。
 【大関・豊昇龍が意地の逆転V! 優勝決定ともえ戦を制し綱取りかけた初場所で2度目の賜杯 綱取りへ望みつなぐ。1/26(日)17:40配信ABEMA TIMES】。「大関・豊昇龍(立浪)が意地の逆転優勝だ。2敗で単独首位を走っていた前頭十四枚目・金峰山(木瀬)が、3敗をキープしていた前頭三枚目・王鵬(大嶽)に本割で敗れたため、同じ3敗だった豊昇龍を含め、2022年11月場所ぶりの優勝決定ともえ戦が行われる運びに。豊昇龍は見事そこで金峰山、王鵬を破って2連勝を飾り、劇的な逆転Vで2度目の賜杯を抱いて綱取りに望みをつないだ」。
 3力士にはそれぞれにエピソードを付加しなければならない。なぜなら、そのことでわがテレビ観戦は、余計に興趣の坩堝(るつぼ)に嵌っていたのである。豊昇龍(立浪部屋)25歳、モンゴル出身。叔父は、元横綱朝青龍で甥っ子にあたる。豊昇龍は今場所の優勝でほぼ新横綱誕生を手中に収めて、叔父・甥共に横綱を張ることになる。王鵬24歳、東京都出身。祖父にはかつての名横綱大鵬を持ち、父には元関脇の貴闘力を持つ、相撲界のサラブレット。男子4兄弟にあって長兄はプロレスラー、そして二兄(納谷)、3男(王鵬)、4男(夢道鵬)の3人は現在、共に「大嶽部屋」(大鵬部屋直系)に所属する3兄弟力士。4男「夢道鵬」は今場所、幕下優勝を決めている。金峰山晴樹(木瀬部屋)27歳、カザフスタン出身、日大出身。金峰山は熊本県に所在する山。しこ名の由来は、11代木瀬親方・元幕内「肥後ノ海」が熊本県出身によるもの。さらに「晴樹」に関しては、肥後ノ海の日大相撲部において、同期だった成田晴樹さんに由来する。成田さんは元高校横綱であったが、在学中に死去されたという。巴戦におけるエピソードはこれである。豊昇龍と王鵬は共に同時に初土俵を踏んだ相撲界同期という。
 相撲のテレビ観戦は、様々なエピソードを携えていれば、興味津々尽きないものである。3力士それぞれに、うれし涙、かなし涙、つきまとう夜明けになりそうである。私の場合は、巴戦の感涙いまだ消えない夜明けである。歯医者通いはなさけない。