昨年の暮れに冬ごもりのために今年伸びたツルを短く刈り込んで部屋に取り込んだパッションフルーツは、室内の暖かさで新しいツルが伸び始めた。それを毎日ながめていると、春にはまだほど遠いけれど、外の寒さを忘れてしまう。今年こそは、外に出すタイミングを間違わないように、確実にツルの成長に適した気候になるまでじっくり待っていようと思う。
昨年、九月の季節外れに咲いた花が四つ実を結んで、小さかったけれどいつまでも暑かったせいか熟して、あの表現しがたい豊かな香りと甘さを妹と一緒に味わうことができた。
毎年、季節外れの実は熟さなかったので諦めていたのだけれど、思いがけない温暖化の恩恵をさずかった。そのせいで、げんきんな私は念入りに冬ごもりの作業に専念したのだった。
もうパッションフルーツの栽培は諦めかけていたのに、俄然やる気が出てきた。
「春が待ち遠しいねー。また、今年も楽しもうね」
と傍らの鉢植えに声をかけた。
春よ、こい。早く来いと一生懸命叫んでいる。