幸先の良い秋にあっても、マイナス思考は消えず

8月26日(月曜日)。閉めて寝ていた窓ガラスを開けると、網戸から入る風は冷えていて、気象はすっかり秋モードに変わっている。前面の窓ガラスを通して眺める大空は、秋天高く青く澄んだ日本晴れを広げている。ところどころに抱く白雲は、上りかけの朝日に照らされて、これまた見事に澄んで、重量感なくふわふわと浮いている。秋の空は季節が恵む、胸の透く一大パノラマである。こんな季節や自然界の恵みにあっても素直に酔えないのは、人生の終盤を生きるわが身の悲しさである。なぜならわが心境は、季節や歳月の速めぐり感に怯えている。つれて余生は、日を追って縮まるばかりである。常に私は、マイナス思考の祟りを食らっている。自ら認める、わが人生の大損である。さて、きのうは行動予定にしたがって、「大相撲巡業、横須賀場所」の観覧に出かけた。妻と娘と連れ合って、親子三人連れだった。わが関心事は、大相撲巡業の催行だった。催行された会場は炎天下の広場ではなく、程よく空調がされていた屋内、すなわち「横須賀アリーナ」だった。朝の九時に開場、そして千秋楽と表記されていた閉場は午後三時だった。これに沿ってプログラムが組まれていた。まず驚いたことにはプログラムは、本場所さながらに進められていた。これらの中から時間の都合で、取り組みの番数が省かれていたところがあったのはやむを得ない。それでも再び言えば、全体プログラムは本場所同然に組まれていた。次に驚いたことは、広大なアリーナを埋め尽くしていた観覧者(人数)の多さだった。そして、屋内の観覧席もまた、大相撲の殿堂・国技館を真似て桟敷多く設(しつら)えてあった。見終えた私たち三人は、それぞれが満足して家路に就いた。大相撲巡業の初体験は結局、愉しめた親子一大行事だったのである。そしてそれは、幸先の良い秋の訪れを感じさせた。できればそれにさずかり、わがマイナス思考は千秋楽にしたいと願っていた。ところが、日を替えて起きてみるとそれはやはり、叶えられず夢まぼろしのままである。