偕老同穴とも白髪

5月8日(水曜日)。ゴールデンウイークが過ぎて、人間界も自然界も正規軌道を回り始めている。この時季の自然界の正規軌道とは、人間の心の和む晴れの夜明けである。ところがわが家の場合は、反転回りである。きのうは妻の定期診断で、「大船中央病院」(鎌倉市)へ引率同行した。診療科は整形外科である。主治医の予約診断(10時30分)の前にあっては、地下で腰部や背部のX線と骨密度の検査撮影が行われた。これらの検査が済むと、2階の診療科の窓口へ出向いて手続きを終えた。横須賀市内に住む娘は、すでに駆けつけていて出会った。しばらくして妻の名が呼ばれ、三人して主治医が侍(はべ)る2号室に入った。三人そろって、丁寧に主治医に挨拶をした。すでにお顔馴染みの主治医は、しばしモニター画面を眺められていた。診断が下された。「骨密度が低下し、背骨のところが一部、折れていますね」。思いがけない診断結果だった。三人はそれぞれに、気分が沈んだ。次回の予約日は、8月6日と決められた。診療費を支払い、処方箋をもって戸外に隣接する調剤薬局へ出向いた。出かける前の雨は小降りだったけれど、大降りに変わっていた。私は零れそうな涙を抑えた。夫婦生活は、片方(私)だけが健康で成り立つものではない。妻が診断を受ける前にあっては、妻と娘は、わが先日の異変を危ぶみ診察を懇願した。わが家の生活は突然、いっそう暗雲が垂れ始めている。わが文章には自分自身、気分が萎えるばかりである。それよりなにより、書くまでもないことを書いて、人様の気分を阻喪している。平に謝り、お許しを請うものである。偕老同穴を叶えることはこの先、安らかな道のりではない。朝日が輝き、ウグイスは鳴いている。自然界の夜明けは「平和」である。わが家、わが身は、さにあらず…。