睡魔に恵まれず、悪魔に襲われている

 4月23日(火曜日)。いまだ夜明け前にある。眠気はあるもののほぼ一晩中、悶々として寝つけず、しかたなく起き出している。朦朧頭であっても起きれば、パソコンを起ち上げるしかない。今や、かなしくつらい、わが性(さが)である。
 悶える目覚めには、様々なことが心中に堂々巡りする。これがまた、寝入りを阻害する。こんなことを浮かべていた。文章を書くことには苦痛がともない、愉しみはない。半面、文章を書くことには、こんなご利益、利得、効果がある。一つは、心中に絶えず語句や言葉をめぐらしていることで、おのずから認知症の予防になる。一つは、文章を通して人様との出会いがある。一つは、薄らぐ記憶が確かな記録へ替わる。そして、このことは、大沢さまのご厚意にさずかるものだけれど、書けば製本(単行本)にありつける。双方を天秤にかければやはり、後者が重たいのであろう。
 現在、目玉は冴えている。けれど、脳髄は鈍重である。それゆえに文章はここで打ち切り、試しに寝床へのとんぼ返りを試みる。幸いなるかな! こんなダメ文では、苦痛はともなわない。薄く明け行く夜明けの空は、雨模様である。ウグイスは私とは違がって、まだ塒(ねぐら)に鼾(いびき)も立てず、スヤスヤ眠っている。