この冬一番の寒い朝、思いは石川県、能登半島へ駆けめぐる

1月16日(火曜日)。現在のデジタル時刻は、未だ夜明け前の真っ暗闇にあって、5:01と刻まれている。起き立ての洗面にあって私は、いつものように水道の蛇口をひねり、身構えた。水に指先を当てると、冷たさで全身がブルった。水の冷たさから寒さは、この冬で一番だろうと実感した。周辺やパソコン部屋に、寒暖計はない。寒暖計で計らずも、体感により気温は、この冬で最も低いことが実感できる。それでも一桁の気温くらいで、もちろん氷点下ではないはずだ。文字どおり荒波荒ぶる日本海へ突き出す能登半島の冬の寒さは、私にはまったく想像さえできない。それゆえにいっそう、被災地と被災者へ思いが駆けめぐる。しかしながらそれは、なんら役立たずの空念仏である。嗚呼、すまない。テレビニュースの映像を観るかぎり、被災地と被災者の苦悩はいや増すばかりであり、いやいっそう深みに嵌って行くように見える。映像を眺めるだけのわが身は切ない。元日の発生からきのうで、早や半月が過ぎた。未だに、余震への怯えは絶えない。能登半島はこれまで、幾多の歌謡の名曲を生んできた。能登半島の日本一美しい棚田風景は、他郷とはいえわが故郷のように常に心中に浮かんでいる。石川県と言えば、観光の名勝は兼六園をはじめどこかしこにある。きらびやかでかつ清楚な友禅流し。海産物旺盛に並ぶ市場もある。加賀百万石の殿様は、名にし負う「前田侯」である。縁もゆかりもないけれど、私の場合は、47都道府県の中にあっては群を抜いて親しみを覚えている。だから心中、石川県には様々な場面に関心を持って、遠吠えにすぎない声援を続けている。先日行われた都道府県対抗女子駅伝にあっては、石川県代表の五島梨乃さんが1区を快走し、栄えある区間賞を取った。テレビ桟敷に陣取ったわが声援は、終始尽きなかった。現在行われている大相撲初場所においては石川県出身の二人の力士、すなわち新入幕の大の里と、人気を誇る遠藤の活躍が目立っている。二人にもまた、わが声援は尽きない。これら三人はインタビューでは異口同音に、「石川県と被災者の励ましのために…」と言って、涙声がとつとつと溢れ出た。今朝の能登半島の気温は氷点下を表し、日本海から吹きつける風の冷たさは、被災者の身に沁みているであろう。それなのにこのところ、「二次避難」という、聞き慣れない言葉がニュースに飛び交っている。つらいなあ…。いや、つらいのは、私ではない。