望月窯だより

 先週火曜日から二泊三日で古河の実家を訪れた。ホームセンターで野菜の苗を購入した。苗を選んでレジで精算をしていると、若い女性の店員が苗のポットに手を伸ばして取り上げようとしてためらっている。その動作を何度か繰り返しているが、先に進まない。
「どうしたの?」と私が訪ねると、「虫が……虫が……」と言ったきり固まっている。
「どこにいるの?」と私はカウンターの上の精算かごをのぞくけれど、見当たらなかった。店員は、指で恐る恐るポットを指さしている。その姿は今にも逃げるような仕草である。
 よく見ると、ポットに植わっている苗の根元に枯れた笹の葉のようなものがある。動けなくなったバッタが一匹横たわっている。
 私は即座につまみ店の入り口から外へ放り投げた。バッタは飛び立っていった。
 店員は再び元気よくレジを打ち始めた。虫が嫌いな人は、体が固まってしまうほどなのだと始めて知った。しかし、野菜の苗や苗木など扱っているのに、今回が初めてではないだろうに、普段はどうしているのかと気になった。
 何となく微笑ましく、心が和んだ買い物だった。