流星群に載せた作品と最近の出来事について

 流星群十二号に於いて、「ケネディー大統領暗殺の謎を解く」を、同誌十三号に於いて、「第一次小泉内閣に田中真紀子外相の辞任の意味」についての作品を載せたが、ごく最近起きた出来事二つが、これら二つの作品で述べた事件と類似し、作品が部分的に二つの出来事を予測というか、証明したようになったので以下述べてみる。
 二つの出来事とは、ウォーターゲート事件の情報源を新聞社に流した元FBI副長官の告白と、石原知事による浜渦副知事の解任劇である。
 まず、ウォーターゲート事件について。約三十年前に起きた、ニクソン大統領による民主党本部のウォーターゲートビルに二期目の選挙戦略を知るため侵入し、盗聴器を仕掛けた事を、ワシントン=ポスト紙がニクソン氏の関与をスッパ抜き事件が明るみになったが、長らく、そのニュース源が明かされなかったが、ごく最近、当時のFBI副長官のマーク=フェルト氏が自らポスト紙に情報を漏らしたと告白した。このウォーターゲート事件を振り返ると、ニクソン大統領は二期目の選挙に備え、反対党の民主党本部のあるウォーターゲートビルに秘かに、CIAやFBI出身者など五人のグループを作り民主党の選挙情報を得るため、侵入させたところ、その一人が地元警察官に逮捕された。これだけだったら単に住居侵入罪で終わるところ、ニクソン氏の関与がワシントン=ポスト紙にスクープされ、結果として、特別検察官が任命され、米議会の弾劾裁判に掛けられる直前、免責特権と引き換えに、フォード副大統領に大統領職を譲った。
 流星群十二号で、ケネディー大統領は、ジョンソン副大統領とFBI長官フーバーの陰謀によって暗殺されたと述べたが、フェルト氏はフーバー長官の副長官であったので、ジョンソン大統領の前後の大統領二人、ケネディーとニクソンは、FBIの正副両長官による、陰謀(暗殺と政治的司法手続きと手段は違うが)によって失脚させられた事になる。それよりも、フーバー長官の暗殺陰謀の可能性を高めたのがフェルト氏の告白だ。
 もう一つは、石原慎太郎知事による浜渦副知事の解任である。石原慎太郎氏は都知事に就任すると、自らの強い指導力を発揮すべく、四人の副知事を任命し、一人を警察庁から、二人を都庁の幹部から、そして要に、自らの指導力と政策を都庁幹部から下部組織まで、事務局に浸透させるため、長年の政治秘書だった浜渦氏を副知事に任命し約四年間指揮をして来たが、ごく最近、事務当局の都庁幹部から同副知事に対する抵抗が起き、石原知事は同副知事を解任せざるを得なかった事だ。
 流星群十三号に於て、小泉内閣の一年目の外務大臣であった田中真紀子は、アメリカの女性国務長官であったオルブライト氏のような指導力のある外務大臣をめざし、局長、課長に対し、自分の立案した政策を指導した所、従来の官僚習慣である、事務当局が立案し、無能な大臣を指導して来たやり方に反するとし、田中大臣に反抗し、大臣の政策指導を無視し、直接首相官邸の指示を仰ぎ、田中大臣を機能させなくしたと書いたが、都庁幹部の浜渦副知事に対する抵抗も、まったく同じ様な現象なのだ。石原知事は、自分の政策指導力を発揮するため、浜渦副知事を通じて積極的に指示したが、局長以下都庁事務当局が猛反発し、同副知事をカリスマだとか天皇だと称し、不当に事務当局に介入したと、その事をマスコミにリークしたり、浜渦氏が辞任しないならば、二人の事務当局出身の副知事が辞職すると迫り、結局、石原知事は都庁内に自分の影響力低下を恐れ、泣く泣く浜渦副知事を解任せざるを得なかった。石原氏はテレビでハッキリとその理由を言えずお茶を濁している。これ以上都庁幹部の反発を防ぐためだ。
 かつて青島幸男も「知事になったら、都庁に風穴をあける」などと言っていたが、知事に就任したら、都庁事務局幹部にあやつられ、何も出来なかった。
 歴史は繰り返すと言うが、外務省幹部と田中大臣、都庁幹部の石原氏への国も県も事務当局の大臣や知事への反抗は悪質で、日本の行政のガンである。

(流星群だより第6号掲載)