玄関先に二本のシャクナゲが植えてある。それぞれ赤と白の花が咲く。何年前のことか忘れたけれど、夫がポットに植わった売れ残りのシャクナゲの鉢植えを買ってきた。土が干からびていて、見るからに枯れているような姿だった。「枯れてしまっているんじゃないの」と私が言うと、「かわいそうだからね」と照れくさそうに応えた。いつもの会話である。買ってくるのは夫だけれど、植えて手入れをするのは私の役目になってしまう。私はしぶしぶ庭に植えたのだった。それから何年かは買ったままの状態で少しも変化がなかった。その内に枯れてしまうものと思っていた。夫はあれきりシャクナゲのことは口にしなかった。
ところがある年の春先に新芽が出た。そして驚くなかれ蕾が膨らんで花が咲いた。私は喜び勇んで夫に報告した。夫は、俺はいずれ咲くとわかっていたと言わんばかりに微笑した。あれからシャクナゲは毎年花を咲かせるようになった。
今年もまた濃いピンクの花が咲き始めた。少し遅れて白い花も咲くだろう。花を見るたびに二個のポットに植わった瀕死のシャクナゲを両手に持って私に差し出した夫の照れ笑いが思い出される。
私の庭
