しじみ汁缶

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寒さの増してきた冬晴れの夕方。
駅近くの公園で一日の疲れを癒やす。
公園には子供を遊ばせる母。
年老いた男性。
広いコートでバスケットボールを楽しむ子供たちの歓声。
通り過ぎていく人々。
人で溢れている。
ベンチには駅の自販機で購入したしじみ汁。
黄色い缶にしじみの写真。
一本でしじみ70個分のちから、と書いてある。
熱々の缶が握る手をあたためる。
蓋を開ける。
ほのかに湯気が立ち昇る。
口に含む。
しじみの味が口の中に広がる。
遠のく喧騒。
ひとりしじみと静かに向き合う。
一口。
また一口。
飲むほどに残り少なくなっていく。
少しでもぬくもりを。
一服。
冬の太陽が眩しい。
ゆっくりと一本吸い終える。
そしてもう一度。
缶が空になる。
しじみの味が舌に残る。
余韻を味わう。
身体が少しだけあたたまる。
しばらくその場から動けなかった。
身体が冷えてくる。
立ち上がる。
休憩を終え自宅へと向かう。
夕方の冷たい風が再び頬を冷やした。