折り折りの記 Ⅵ

折り折りの記 Ⅵ
中山和江著

A5判 206頁 上製本( カバー有)
非売品
ISBN978-4-901735-82-7

 今回の原稿を書き始めたのは、昨年のゴールデンウイークからで、目標は一カ月三十枚書くことだという。家事が優先なので、原稿を書くのは御主人が二階の自室に引き上げて行く十時半前後から十二時ぐらいまでであるが、書く時間を作るのは並大抵のことではない。著者は今年(平成二十三年)七十三歳になる。三十歳で次女を出産し、産後二十日に寝たきりの祖母を一人で抱えてトイレに連れて行った後、突然立ち上がれなくなり、脊椎分離症と診断された。十七年後には脊椎管狭窄症になり、手術をせず保存療法で今日に至っている。自律神経失調症も患っており、疲れてくると頭が重くなり、四十一歳の時から薬を飲み始めた。薬を飲んで横になって頭が軽くならないと日常の生活ができない。体調をみながらの生活の中で、家族の日常を書き留め、自分の人生を顧み、またそれを糧にして毎日を過ごしてゆく。泣き言を言わず、自分に与えられた人生を誠実に前向きに生きている著者の姿勢は、読むものに励みとなり、生きる力を与えてくれる。