よみがえる修業時代

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 高橋さんとたまごさんの投稿を読んでいて、ふと吉祥寺にあった現代文芸研究所に通っていた頃を思い出しました。研究所の所長の田端信先生は私の文学の師匠です。合評会や忘年会、懇親会などの後には必ず吉祥寺の飲み屋街に繰り出して、店のはしごをしたものです。私は終電車に間に合わないと、深夜に自宅までタクシーで帰宅したものでした。
 吉祥寺の駅の近くに、小さなバーがあり、研究生のたまり場になっていました。初老のマスターは「五郎ちゃん」と呼ばれていて、画家でもありました。やがて駅前開発で五郎ちゃんの店も立ち退きになりました。しばらくして五郎ちゃんから個展の案内状が舞い込んできました。そのときはすでに所長の田端先生も亡くなっていて、私は久しぶりに出会った五郎ちゃんと昔話に浸って後ろ髪引かれながら個展の会場をあとにしました。
 今は夢幻のごとくなった切ない思い出です。