初秋、アホ丸出しの夜明け

 8月27日(火曜日)。夜明けの空から音なく、小雨が降っている。風は凪(な)いで、木の葉の揺れはまったく無い。両耳に補聴器を嵌めていないため、セミや小鳥の声も聞こえない。普段の散歩連れは、雨のため通っていない。だから、人の声はするはずもない。キー叩きの音も聞こえない。確かに、心臓の鼓動は感じている。けれど、これまた音、聞こえず動いている。ネタなく、書くことは何もない。しかし、こんなことでも書けば、生きている証しにはなる。日々、人の世の喧騒の中に居ついていると、わずかの時であっても、案外、音無しのひとときは桃源郷と思えるところはある。
 きょうは、まるで世捨て人の仙人みたいな心境を書いて、結び文に甘んじる。ネタのないせいとはいえ、こんなみすぼらしい文章、書かなきゃよかったのかもしれない。だから、人様には詫びて、自分自身は悲しんでいる。初秋の戯れ文と嘯(うそぶ)いて、みずからを慰めている。
 つけようのない表題は、「初秋、アホ丸出しの夜明け」でいいのかな。いや、いくらか飾って、初秋、小雨降るのどかな夜明けである。