梅雨入り劈頭の朝ぼらけ

6月22日(土曜日)。梅雨入り劈頭(へきとう)にあって、のどかに晴れた夜明けが訪れている。わが精神は静かに落ち着いて穏やかである。長く気分を迷わし続けていた、気象庁の梅雨入り宣言が決着したためである。もちろん、気分の落ち着きは万全ではない。それは歳月の流れの速さに抗しきれず、唖然としているせいである。きのうの自然界(気象)は、奇妙と言うか絶妙と言おうか、ミラクル(奇跡)を演じた。すなわち、きのうの気象は「夏至」と梅雨入り(地域限定、関東地方ほか)を同日に合わせたのである。こんなことが気象庁の過去記録にあるかどうかは知る由ない。しかし、私には奇跡に思えていたのである。夏至が過ぎてきょうから日長は日々縮んで、変わって「冬至」(12月21日)へ向かって夜長が延びて行く。一方梅雨は、人の口の端や気象予報士の予報にあって、こんどは梅雨明けの時期が取りざたされてくる。人間界の営みは、良くも悪くも自然界現象に翻弄され、あるいは多大な恩恵を得ながら、過去から現在そして未来永劫へ、世代や世相を変えて連なるのである。ゆえに、わが限られた生存期間は、まさしく芥子粒ほどもない。だったら日々、クヨクヨするのは大損である。わかっちゃいるけれど、それを止められないのは、わが生来の「身から出た錆」なのであろう。確かに私は、大バカ者である。今朝の晴れは、梅雨明けまでは「梅雨の合間の晴れ」、すなわち限定晴れに呼び名を変える。ときには、「束の間の晴れ」とも呼ばれる。限られた梅雨の合間の朝ぼらけを喜んで、山のウグイスの鳴き声は、ひと際朗らかな高音(たかね)である。アジサイの彩りもまた、ウグイスの鳴き声に負けまいと妖艶さを増している。アジサイは、きのうの雨の名残露にあずかっている。