5月初日

歳月はカレンダーにそって、4月から5月に入る(1日・水曜日)。季節は晩春を過ぎて、今週末には「初夏」(5月5日・日曜日)が訪れる。それに応じて、山は緑を深めてゆく。水は温みを強めてゆく。人間界における出会いの月4月は、様々な儀式を終えて、すでに本格稼働に入っている。ゆえに5月の初っ端は、病巣や病根のない俗に言う「五月病」に憑(と)りつかれて、気鬱症状はなはだしいところがる。花粉症状は遠のくもののかわりに、それによる身体の怠(だる)さと精神の憂鬱がともなって、人一様に心身に堪えてくる。ところが、「捨てる神あれば拾う神あり」ある。いっとき(十日ほど)とはいえ、心身の疲れを休める、「ゴールデンウイーク」が訪れる。きょうは平日とはいえ、その最中にある。この間の目玉は、物見遊山すなわち国内外への行楽である。しかし、「好事魔多し」。心身の癒し行為は終われば余計、疲労と物憂さをいや増すところがある。ゴールデンウイークにありつけないわが僻みではなく、現役時代における確かな狂おしい実体験である。先駆けのゴールデンウイークの前半は、天候に恵まれなかった。ところが、後半には晴れの予報が連なっている。その橋渡しとなるきょうの夜明けは、いまだどっちつかずの曇天である。雨の無い夜明けは、やがて晴れを誘い出すのかもしれない。行楽にありつけない僻み根性は捨て去り、素直に私は、行楽日和の訪れを願っている。人間界の幸運・幸福を妬むつもりはない。